異文化適応

自分の育った文化環境から離れて日本で新しい生活を始めることは、想像以上にいろいろなストレスを伴うことかもしれません。このストレスは、時間とともに自然に乗り越えられることもあれば、大きな問題のように感じられて自分一人では解決が難しいこともあります。グローバル・エンゲージメントセンター支援チームでは専門のカウンセラーや医師が適応の相談に応じています。自分で解決することが難しい問題、疑問や相談があったら連絡してください。そのようなストレスを積極的に乗り越え、日本での生活や勉強がより実り多きものとなるよう、以下に、異文化適応の視点からいくつかのヒントをあげます。

グローバル・エンゲージメントセンター 支援チーム
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1.カルチャーショック

カルチャーショックとは、一般的には異なる文化習慣や考え方、行動パターンなどを目の当たりにしてショックを受けることと理解されますが、専門的には、そういった環境で自分が自分らしく振る舞えず、そのために自信を失うことなどからくる心理的に落ち込んだ状態を指します。これは一時的なもので、異文化の適応過程ではだれもが経験するものです。期間や程度は人によって異なりますが、一般的に自信をなくす、憂うつな気持ちになる、どんな失敗も自分のせいだと思う、自分に価値がないと思う、という感情を経験しやすくなります。またその結果、人と話したくない、授業に出たくないと思うようになったり、食欲がない、眠れないといった身体症状が出る場合もあります。しかし、このような感情が起こるのは、新しい環境に慣れていく過程では自然なことです。あせらずにひとつひとつ対処していくことで、いずれ乗り越えることができます。

2.学校文化の違い

文化によって価値観、行動パターン、コミュニケーション方法が異なることはよく知られています。しかし、「学校文化」の違いについては見落とされがちです。同じ「大学」といっても、文化に基づいた様々なルールや習慣があり、人間関係のあり方、例えば教員と学生の関係や期待される役割が異なり、それが大きなストレス源となることも考えられます。例えば、日本の大学院では指導教員と学生の関係に独特な特徴があるとも言われます。日本の大学に慣れ、よりスムーズに留学目的を達成するために、このような視点から「学校文化」の違いを念頭に置く必要があります。疑問に感じることがあったら、アドバイザーなどと話し合い、良い研究環境を作っていくようにしてください。

3.ストレスヘの対処法

ストレスを感じたときや勉学に対する自信をなくした時には、まず自分を楽にする方法を考えましょう。勉強の成果はすぐ目に見えるものではなく、時間をかけて積み重ねるものです。異なる文化で生活し、また勉学上の目標を達成するプロセスにおいては、たまに休憩も必要です。疲れたときは少し休んで、自分の好きな食事や娯楽、スポーツなどを楽しみましょう。また、友達や先生、アドバイザーやカウンセラーと話をすることもおすすめします。異文化適応の過程はストレスを感じやすくなるだけの時期ではなく、自分の視野を広げ、自分や周りの人の多様な文化を理解するための成長の機会になりますので、体験から多くを学んでください。

参考

カルチャーショックと異文化適応